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  コンプリケーション ウォッチ (1)  
       
   

今回は時計になぜ惹かれるのか考えてみたいと思います。時計を見るということで考えると、携帯電話で充分ですし腕時計としても安価で丈夫で正確なクォーツ式時計があります。時計に興味のない方はそれで充分ですし、何ら不満もないはずです。ところが、時計好きな方にとってそれではダメなのです。私も携帯は使いますしクォーツ式の時計も10数個は持っています。時間を知るにはそれぞれ充分なのですがそれでは納得が出来ません。時計にはなぜ、惹かれるのかを考えていきます。 腕時計、それも機械式時計になぜ惹かれていくのでしょうか。時計は内部に大小の歯車が絡み合いそれぞれの周期で回転していきます。それが、あたかも天体の星々の動きを連想させ、時計が小さな宇宙そのものであり時計を身に付けるということは無意識のうちに宇宙を手に入れたいという欲望が満たされることである。そんな有名な人の話を読んだことがあります。私自身、そんな風に思うこともあります。単に不思議で高価な「遊び道具」あるいは「大人の玩具」と思っています。機械式時計は高価な物であり複雑機構(コンプリケーション)になると更にモノスゴイ物になっていきます。それでも人はより惹かれていくのです。コンプリケーションには幾つかの機構があります。更に複数の複雑機構が組み込まれたグランドコンプリケーションという物もあります。雲の上の「遊び道具」、コンプリケーションウォッチについてお話します。前にも少しお話したことがありますが、より詳しくお話していきたいと思います。複雑機構にまず時打機構があります。分かり易くいうとミニッツリピーターです。そもそもは暗闇の中でも時刻が分かるように開発された機構です。ヴェルディのオペラでも見ながらその音色を聞いたのでしょう。私はミニッツリピーターの音色は AP の数種類と IWC のグランドコンプリケーション、ジャガー・ルクルトのレベルソミニッツリピーターを聞いたことがあります。どれも素晴らしい音色で私は「天使の鐘の音」と思っています。複雑機構で時打機構の双璧としてトゥールビヨン機構があります。トゥールビヨンとはフランス語で「渦巻き」という意味です。この機構は天才時計師、アブラン・ルイ・ブレゲが発明した物です。トゥールビヨンとは、渦巻きのように回転する脱進機、調速機の様子から呼ばれるようになりました。時計の姿勢差による動誤差を極力少なくするための方法を突き詰めたシステムで極端に言ってしまえば機械式時計の技術においてここまでが限界であろうとされるメカニズムです。意外と知られておりませんが、ブレゲのトゥールビヨンを発明した時、まだ万有引力が発見されていなかったのです。すごいことだと思いませんか。トゥールビヨンは機構の複雑さの素晴らしさもありますが、何よりも見て美しい。それが何よりです。これらはとても高価なもので、雲の上の「遊び道具」ですが、いつか身に付ける夢を見たいものです。長くなりましたので、次回も引き続きコンプリケーションのお話をしたいと思います。

 

 
         

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